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「稲妻」を観ると食べたくなる山盛りお蕎麦

「稲妻」
(1952年・大映東京・モノクロ・93分)

監督:成瀬巳喜男
原作:林芙美子
脚本:田中澄江
撮影:峰重義
美術:仲美喜雄
衣装:藤木しげ
音楽:斎藤一郎
演者:高峰秀子
    三浦光子
    村田知英子
    植村謙二郎
    香川京子
    根上淳
    小沢栄
    中北千枝子
    浦辺粂子
    杉丘毬子 他

<物語>
成瀬巳喜男監督が、51年の「めし」に続いて林芙美子の原作を田中澄江脚色で映画化した名品。主演は本作以降、成瀬監督とたびたびコンビを組むことになる高峰秀子(初コンビ作は41年の「秀子の車掌さん」)複雑な家庭環境の下に育った末娘が家を出て自立する中で成長していく姿を描く。バスガイドとして働く清子には2人の姉と一人の兄がいた。しかし、4人とも父親が違った。ある日、長姉夫婦が清子に縁談話を持ちかけるが、清子には姉夫婦の意地汚い魂胆が見え透いてしまいとても話を進める気になれない・・。現代なら間違いなく“ドロドロ”の物語となるべきところを、人間の業やサガをありのままに描きながら、表現はあくまでも慎ましく、映画はそうしたすべてを温かく受け入れる包容力を見せ、観終わって清々しささえ感じてしまう成瀬監督の見事なお手並みが堪能できる逸品。(allcinema「稲妻」の解説より引用しました



梅雨の蒸し暑い日々。初夏が待ち遠しくなる頃に、
懐かしい友に逢うような気持ちで観たくなる『稲妻』
まだ自分が生まれていない頃に生まれた映画なのに
この懐かしい肌ざわりはなんなんだろう。
この映画だけに流れている自然なリズムが
たまらなくクセになる。一度観ると病みつきになる。
「生まれてから幸福(コウフク)だなんて思ったこと
 一度もない。生んでほしくなかった。生まれたくなかった」
と言いながら貯金で浴衣を買ってあげようと言い
自然体で歩いて行く母と娘。死ぬ人がいて、
保険金に群がるイヤらしい人たちがいて、そこから
逃げ出したい人がいて、誰かに依存ばっかりしている人がいて、
たくさんの泥臭い小汚い出来事が続くというのに
その流れるリズムは、爽やかささえ感じる不思議。

渇いた心に稲妻のように雷光がおきて何かが突然
自分の中で生まれるように泣きだし、そして和解する。
人の心を見つめ、すべての欺瞞を引き受け、
でも、なんだかんだと生きていくのが人間なんだと
成瀬監督がクスクス笑いながら囁いてくれているみたい・・。

というか、成瀬監督の映画って気がつくと
ニャンコが登場することが多いんだけれど
この『稲妻』に出てきたニャンコって
『めし』の時の子と似ているよー!
撮影所に住んでんの?ってくらい似てる(笑)   
映画「稲妻」より 映画「稲妻」より
©「稲妻」大映

そして、『稲妻』を観るたび、どうしても食べたくなるお蕎麦。
映画「稲妻」より
©「稲妻」大映

山盛りの蕎麦をすごい勢いでみんなで食べていて
二階の間借りの女性に清子@デコさんが
持って行ってあげる時の仕草がすごく好き。
つゆを蕎麦猪口に入れて、蕎麦を重ねて
持って行ってあげるだけなんだけれど
なんかとっても自然でね。その時、
長女が嫉妬深い目をしているのも印象的。

それから、清子@デコさんが家族たちの小汚さがイヤになり
間借り先を訪ねて挨拶をしに行った時に家主の方が、
「お蕎麦をうったんですけれどよかったら食べませんか」
と言ってくれてごちそうになる場面で
その蕎麦がやたら長くて切れ目がないんですよ(笑)
映画「稲妻」より 映画「稲妻」より
©「稲妻」大映

その家主の方が「長いのが自慢でして」と笑い
デコさんも器用につゆにつけて
ちゅるちゅるちゅるって食べます(笑)
映画「稲妻」より 映画「稲妻」より
©「稲妻」大映

そういう小ネタがちょこちょこ出てきて
成瀬映画らしいユーモアがあって好きなのです。
その、ちゅるちゅるって食べる音が
たまんなく食欲をそそるです。お蕎麦が食べたい!って。
この映画は衣装もいいんですよねぇ~。
デコさんのシンプルな夏のブラウスには
肩と腕の付け根のところぐらいに
ハの字のようなポケットみたいのがついていて
なんかカワイイの。長女や次女が着ている
夏の着物や浴衣もシンプルで素敵だった。
あとは冒頭の銀座。路面電車が走っている頃の
貴重な映像を観ることができます。
バスガイド姿のデコさんも清楚で素敵です。

そんなこんなで、さっそくお蕎麦を茹でて食らいました。
1人、二人前です。山盛りじゃなきゃ意味ないです(笑)
もちろん、ちゅるちゅるって勢いよくすするです。
山盛りお蕎麦

カテゴリー:くいしんぼうシネマ

Author.ガオ
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 カトルカールが焼きあがる香り

★飲喰雑記2012.4.9まではコチラ

 

私立探偵 濱マイクシリーズ BOX
映画三部作。
1作目「我が人生最悪の時」
モノクロ。哀しき友情。
日活映画の香り。
この玩具は閉まっておきなよって
ヤンのお腹をポンと叩くマイクの手が
人柄を表していて好きだなぁ。

2作目「遥かな時代の階段を」
ちょっと「エデンの東」のような
マイクの世界。

3作目「罠」
マイクとミッキー。
明と暗。太陽と月。これまた哀し。
不器用なマイクが恋する姿も良し。

「私立探偵 濱マイク」テレビドラマ版
テレビドラマ版濱マイク。
全話フィルム撮りで全話違う監督だから
キャラは一貫しているものの
各回の個性が強くある。
ドラマというより短編映画のよう。
毎回流れるオープニングの
「くちばしにチェリー」
(EGO-WRAPPIN')や、
YOUさんの予告などかつての
日テレドラマの傷天や探偵物語などを
彷彿させ毎週楽しみでした。

第1話「31→1の寓話」
緒方明監督作。
ちょっとマイクの服が
気合い入りすぎていて違和感(笑)
なかなか凝った話で面白い。
マニュアル通りに生きる哀しさ。
戦っている香川さん切ない。 野毛に
金ちゃんのお墓探しに行こう(謎笑)

第2話「歌姫」
前田良輔監督作。
横浜下町色全開で
このドラマの回のロケ嬉し。
磯村屋とかに焼きソバ
食べに行っちゃったもん(笑)
あの狭い路地も探しちゃった。

第3話「どこまでも遠くへ」
萩生田宏治監督作。
自分が生きている意味。
「ちゃんともっているよ」と
ハートをポンっとたたくマイクが優しい。
あきらかにメリーさんだよねという役柄で
岸田今日子さんが黄金町駅近の橋で
登場してくれるのが嬉しかった。

第4話「サクラサクヒ」
行定勲監督作。
この回が一番映画の濱マイクを
彷彿させる。話の軸になるのは
丈治とメイホアなんだけど
坂道の階段みたいなとこで
寝ころんで待っているマイクとか
横浜港の税関で情報を聞くとことか
二人組の刑事とのやりとりとか
あぁ、これがマイクだ~って感じです。
行定監督は映画版の時に助監督でした。
マイクとは縁が深いです。

第5話「花」
須永秀明監督作。
偽物マイクが出てきたり大阪に行ったり
マイクが黄金劇場でバイトしたり(笑)
ゴタゴタしている中でリストラ問題
独りぼっちの子供・・(泣)
子供の時の思い出がないから
子供にどう接していいのか
わからないというマイクに共感。
そういえば星野君・・・・いた?(謎)

第6話「名前のない森」
青山真治監督作。
ちょっと異色なマイクの世界感
いい意味でぶっ壊してくれていて
斬新で面白い。そうして、
「濱マイク」が「濱マイク」で
いたくなくなるというのは、実は
映画版の頃から伏線として
静かにあると思います。

第7話「私生活」
岩松了監督作。
岩松さんって器用な方なんだなぁ。
役者さんとしても劇作家としても
監督としてもなんでもこなしてしまう。
この回は野毛のパチンコ交換所で
マイクに情報をくれる謎の女サキが中心。
でも相変わらず謎の女です(笑)
赤いワンピースが華やかな
「誰も得はしないわ」というラストが好き。

第8話「時よとまれ、君は美しい」
石井聰亙監督作。
古風だけれど名作。
石井ワールドのロックな世界観。
自白剤の伏線。
意識が朦朧としている中での
声にならないくらいの
マイクの告白。 美しくて
哀しいラストに思わず涙・・。

第9話
「ミスター・ニッポン21世紀の男」
中島哲也監督作。
ぶっ飛んでます。アホです(笑)
中島ワールド全開です。
マイクとタダシの友情にもホロリ。
鑑別所で「立てよ、タダシ」と
言った時のマイクと同じように
都橋商店街でのラストでも
「立てよ、タダシ」といったマイク。
どんなに時が流れていても
ハートは一筋。 どこまでも
友達を見捨てないのだ。

第10話「1分間700円」
竹内スグル監督作。
クールです。この回のマイクは
ファッションのせいかな、どこか
『トゥルーロマンス』の時の
スレーター演じるクラレンスみたいで
やんちゃでカッコイイ雰囲気なのよねぇ。
しかし、ほんとに殺し屋の浅野さんが
ハマりすぎです。赦される意味を迷い
命を粗末にする独りの人間を
なんとかしてすくいたいと思う
命が消えそうな人間とのやりとりは
切ない感じです。ラストもクール。

第11話「女と男、男と女」
アレックス・コックス監督作。
マカロニウエスタンですよ、横浜で(笑)
おまけにミルクのエピソードまで。
色々盛り沢山なのに最後には
カラスでまとめちゃう
アレックス・コックス監督ステキです。
ってか、もう航海していない船で
どこへ行く?田口トモロヲさん(笑)

第12話 「ビターズエンド」
利重剛監督作。
最終回らしい最終回。
レギュラーメンバーが全員で
横浜鑑別所の歌を合唱する場面が
なんだか、すごく好きだった。
Bを演じたSIONさんは最高だった。
マイクを演じた永瀬さんの
どんな時も本気の思いが
ドカンと伝わってくる
迫真の演技に胸打たれる。
ラストに流れる「通報されても」
マイクのモノローグ。涙、涙。
利重監督の世界は温度があるね。




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