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浮標(KAAT×葛河思潮社)

























「冒した者」を観に行った時は龍平さん目当てだったとはいえ
結局、それがきっかけで、久しぶりに観劇熱が再熱してしまったので
KAATで「浮標」を再々演すると知ったその時からというもの、
もう、そわそわワクワクな状態になってしまって
なんだかいてもたってもいられなくなり上演時間のことは知らずに(笑)
三好十郎氏の戯曲、葛河思潮社、長塚さん演出・出演、田中さん主演、
という信頼度から、初日のチケットを即買いしていたのだった。
それからしばらくして、上演日が近くなった頃に、たぶん
「冒した者」の時にアンケート用紙に記しておいた住所が登録されていたのか
公演案内が届く。チケットを買った時にはまだ出来ていなかったチラシと
長塚さんの熱いメッセージが記された素敵な印刷紙が同封されていた。
すでにチケットを買っていたアタシはメッセージに目を通しながら
もちろん、行きますよ!と心の中で返したし、観る予定がなかった方も
それを読んだら、きっと劇場に観に行きたくなって来た方もいただろうなぁと
想像できる熱い思いが感じられたものだった。

そうこうしているうちに上演時間を知る。
4時間。2回休憩があるとはいえ、それぞれ10分。
ヘタするとトイレに行きそびれるギリギリの幕間。
正直、めちゃくちゃビビってしまった。
席が舞台に近かったので、途中でトイレに行きたくなったら
演じている役者さんは気にしてしまうのではないだろうかとか
お腹が鳴ったらどうしようとか、観客席は飲食禁止だろうから
エコノミー症候群になったらどうしようとか、
何より4時間の間、生粋のプロの俳優の方たちとはいえ
同じ人間なのだもの、大丈夫なのだろうかとか、
もう、普段は大雑把なくせにへんなとこで怖がりな自分にとっては
それはそれは、ヘンテコな緊張が目白押しで襲ってきて・・・
でも、お芝居が始まる時に長塚さんが、
4時間あるんだなぁと思って気楽に観てくださいね、という感じで
観客たちに語りかけてくれて、それで、すーっと緊張がほぐれる。
そして、気が付くと4時間なんて、あっという間だった!

真ん中に砂場があり、そのまわりに椅子があるだけ。
その砂場にはほとんど五郎がいて、美緒とおばさんがいる。
椅子には、他の人物たちが自分たちの出番まで
五郎たちを見守って静かに座っている。
時々そっと立ち上がり衣装替えをしてくる。その所作や
シンプルな舞台そのものの佇まいが、ゾクゾクするほど美しかった。
この直球さは「冒した者」に感じた時と同じく心に響くもので
そうだ、やはり、自分はこういうのが好きなのだった。

最後には涙がとまらなくなってしまって、
どうしていいのかわからないくらい泣いてしまった。
演者の方たちは皆さん、誰もかれもが素晴らしくて
目に観えないものをたくさん観せてくれた。
子供たちが美緒に逢いに来た時の場面は胸にグっとくるもので、
大人の俳優たちがそれぞれ子供のセリフを美しい歌を重ねるように
砂場の美緒に放つだけなのに、まるで、本当に皆がいるように観えて
泣けてきてしまった。
それから、やはり、久我五郎を演じる田中哲司さんってスゴイ・・。
舞台上で、こんなにもヤバいくらい自然になれるなんて。
もう、田中さんはいなくて、五郎しか存在していなくて。
あんなに泣いてしまったのも、五郎にひきこまれてしまったのもありました。
今生きていること、それが一切なんだよと、万葉の歌を詠み上げながら彼が言う。
頼りなく輝く美緒の命の灯が消え、五郎の手からこぼれおちる砂・・
今がすべて、この瞬間がすべて。その、すべてと思えたものが
目の前から消えてしまった時、人はどうしたらいいのだろう・・・

苛立ち、怒り、哀しみ、優しさ、汚さ、美しさ・・
たくさんのものを見つめた濃密な4時間。
観劇熱が再熱してから色んなものを観てきたけれど
すべてがぶっとんだ。
これから、これ以上のものに出逢えるのか心配になるくらい
素晴らしすぎた・・・
再々演してくれたことに感謝します。
きっと、何を観ても、これに戻ってきてしまうでしょう。
それくらい自分にとって、大切で特別なものになりました。



<作>
三好十郎

<演出>
長塚圭史

<出演>
田中哲司
原田夏希
佐藤直子
谷田歩
木下あかり
池谷のぶえ
山﨑薫
柳下大
長塚圭史
中別府葵
菅原永二
深貝大輔
(戯曲配役順)

<美術>
二村周作

<照明>
小川幾雄
山崎哲也

<音響>
加藤 温

<衣裳>
山田いずみ

<ヘアメイク>
河村陽子

<歌唱指導>
門司 肇

<演出助手>
山田美紀

<舞台監督>
福澤諭志

<主催>
ゴーチ・ブラザーズ

<提携>
KAAT神奈川芸術劇場

<あらすじ>
夏も終わりの千葉市郊外の海岸。洋画家の久我五郎は結核を患う妻・美緒の看病に明け暮れている。生活の困窮、画壇からの圧力、不動産の譲渡を迫る家族・・など、苦境の中で妻の病気は悪化していく。戦地へ赴く親友の訪問を受けた数日後、献身むなしく美緒の容態が急変。その枕元で、五郎は必死に万葉の歌を詠み上げる・・

カテゴリー:舞台観察記

Author.ガオ
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 鳥が斜めに飛ぶ姿
 カトルカールが焼きあがる香り

★飲喰雑記2012.4.9まではコチラ

 

私立探偵 濱マイクシリーズ BOX
映画三部作。
1作目「我が人生最悪の時」
モノクロ。哀しき友情。
日活映画の香り。
この玩具は閉まっておきなよって
ヤンのお腹をポンと叩くマイクの手が
人柄を表していて好きだなぁ。

2作目「遥かな時代の階段を」
ちょっと「エデンの東」のような
マイクの世界。

3作目「罠」
マイクとミッキー。
明と暗。太陽と月。これまた哀し。
不器用なマイクが恋する姿も良し。

「私立探偵 濱マイク」テレビドラマ版
テレビドラマ版濱マイク。
全話フィルム撮りで全話違う監督だから
キャラは一貫しているものの
各回の個性が強くある。
ドラマというより短編映画のよう。
毎回流れるオープニングの
「くちばしにチェリー」
(EGO-WRAPPIN')や、
YOUさんの予告などかつての
日テレドラマの傷天や探偵物語などを
彷彿させ毎週楽しみでした。

第1話「31→1の寓話」
緒方明監督作。
ちょっとマイクの服が
気合い入りすぎていて違和感(笑)
なかなか凝った話で面白い。
マニュアル通りに生きる哀しさ。
戦っている香川さん切ない。 野毛に
金ちゃんのお墓探しに行こう(謎笑)

第2話「歌姫」
前田良輔監督作。
横浜下町色全開で
このドラマの回のロケ嬉し。
磯村屋とかに焼きソバ
食べに行っちゃったもん(笑)
あの狭い路地も探しちゃった。

第3話「どこまでも遠くへ」
萩生田宏治監督作。
自分が生きている意味。
「ちゃんともっているよ」と
ハートをポンっとたたくマイクが優しい。
あきらかにメリーさんだよねという役柄で
岸田今日子さんが黄金町駅近の橋で
登場してくれるのが嬉しかった。

第4話「サクラサクヒ」
行定勲監督作。
この回が一番映画の濱マイクを
彷彿させる。話の軸になるのは
丈治とメイホアなんだけど
坂道の階段みたいなとこで
寝ころんで待っているマイクとか
横浜港の税関で情報を聞くとことか
二人組の刑事とのやりとりとか
あぁ、これがマイクだ~って感じです。
行定監督は映画版の時に助監督でした。
マイクとは縁が深いです。

第5話「花」
須永秀明監督作。
偽物マイクが出てきたり大阪に行ったり
マイクが黄金劇場でバイトしたり(笑)
ゴタゴタしている中でリストラ問題
独りぼっちの子供・・(泣)
子供の時の思い出がないから
子供にどう接していいのか
わからないというマイクに共感。
そういえば星野君・・・・いた?(謎)

第6話「名前のない森」
青山真治監督作。
ちょっと異色なマイクの世界感
いい意味でぶっ壊してくれていて
斬新で面白い。そうして、
「濱マイク」が「濱マイク」で
いたくなくなるというのは、実は
映画版の頃から伏線として
静かにあると思います。

第7話「私生活」
岩松了監督作。
岩松さんって器用な方なんだなぁ。
役者さんとしても劇作家としても
監督としてもなんでもこなしてしまう。
この回は野毛のパチンコ交換所で
マイクに情報をくれる謎の女サキが中心。
でも相変わらず謎の女です(笑)
赤いワンピースが華やかな
「誰も得はしないわ」というラストが好き。

第8話「時よとまれ、君は美しい」
石井聰亙監督作。
古風だけれど名作。
石井ワールドのロックな世界観。
自白剤の伏線。
意識が朦朧としている中での
声にならないくらいの
マイクの告白。 美しくて
哀しいラストに思わず涙・・。

第9話
「ミスター・ニッポン21世紀の男」
中島哲也監督作。
ぶっ飛んでます。アホです(笑)
中島ワールド全開です。
マイクとタダシの友情にもホロリ。
鑑別所で「立てよ、タダシ」と
言った時のマイクと同じように
都橋商店街でのラストでも
「立てよ、タダシ」といったマイク。
どんなに時が流れていても
ハートは一筋。 どこまでも
友達を見捨てないのだ。

第10話「1分間700円」
竹内スグル監督作。
クールです。この回のマイクは
ファッションのせいかな、どこか
『トゥルーロマンス』の時の
スレーター演じるクラレンスみたいで
やんちゃでカッコイイ雰囲気なのよねぇ。
しかし、ほんとに殺し屋の浅野さんが
ハマりすぎです。赦される意味を迷い
命を粗末にする独りの人間を
なんとかしてすくいたいと思う
命が消えそうな人間とのやりとりは
切ない感じです。ラストもクール。

第11話「女と男、男と女」
アレックス・コックス監督作。
マカロニウエスタンですよ、横浜で(笑)
おまけにミルクのエピソードまで。
色々盛り沢山なのに最後には
カラスでまとめちゃう
アレックス・コックス監督ステキです。
ってか、もう航海していない船で
どこへ行く?田口トモロヲさん(笑)

第12話 「ビターズエンド」
利重剛監督作。
最終回らしい最終回。
レギュラーメンバーが全員で
横浜鑑別所の歌を合唱する場面が
なんだか、すごく好きだった。
Bを演じたSIONさんは最高だった。
マイクを演じた永瀬さんの
どんな時も本気の思いが
ドカンと伝わってくる
迫真の演技に胸打たれる。
ラストに流れる「通報されても」
マイクのモノローグ。涙、涙。
利重監督の世界は温度があるね。




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