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『今日子と修一の場合』

ポスター

ジャック側のトイレそばに貼ってある原節子さんのポスターに誰かのサイン・・とうか、原節子さんのサイン?まさか・・??


映画館の掲示板


奥田瑛二さんと安藤サクラさん


半券とパンフレット

この映画のあらすじ、キャスト、スタッフなど詳細はコチラ

先月の17日。特にこの映画のことも知らず、
奥田さんが舞台挨拶に近所の映画館に来てくれるという
そんな気持ちだけで観てきたのですが、なかなか心に残る映画でした。

『今日子と修一の場合』というタイトルそのままに
今日子と修一の場合を見つめている映画。二人が交わることはなくて、
唯一二人が同じ画面に映るのは震災後の故郷での道とラーメン屋さんでの場面。
特に言葉も交わさずただ見知らぬ他人としてすれ違うだけで
この二人一緒の物語ではなくて、それぞれの場合なのです。

今日子は漁師の妻として息子や夫の親たちと暮らしていたけれど
夫が病に倒れてから保険外交員の仕事をして営業の成績のために
上司や客に身体を売り、家族のためにお金のためにやったけれど
その家族に追い出されてしまって結果的に東京に出てくるということに。
彼女の背負う運命の歯車は溝口映画に出てくる哀しい女性たちみたいだ。

行くあてのない東京では風俗関係のスカウトにハメられるも
『女と男のいる舗道』よろしくあんな感じで今日子は
仕事をこなしていくのです。この辺りの淡々とした
退廃な感じがとてもいい。変に説明的じゃなくて
自然にそういう流れになる感じが沁みてくる。
この時のスカウトマンを演じた和田さんのとても頼りない感じとか
ダメなやつなのに憎めない感じがどことなく若い頃の
奥田さんが演じていた男たちに似ていると思ったら奥田さんの映画には
和田さんはかかせない方でいつも自分を投影させているような
そんな役どころを演じてもらうことがあると上映後の舞台挨拶で
奥田監督が語ってくれてなるほどと思いました。

その二人は一緒に暮らしている。男は今日子のヒモなのだけれど
腐れ縁のように離れられない二人。そして味噌汁を作っていたらあの地震。
怯える男が今日子に抱きついた途端、今日子が持っていた包丁が刺さってしまい、
その時の刺し傷で男は死んでしまう。陳腐と言えば陳腐な展開だけれど、
その後の今日子の狂気を静かに描いている底力にゾクゾクしました。

一方、修一。リストラですさんだ父親を殺してしまい
母親をひとり残して少年刑務所へ。そして刑期を終えて出てくる。
それで、彼の出所に迎えに来てくれて今後彼が働く場所になる
工場の社長さんがとても優しくていい感じなのですよね。
お決まりのイジメる若い同僚たちが出てきて最後には仲直り・・
という手垢がついた感じの場面も思いのほか素直に
受け入れて観ることが出来たのはこの社長さんの存在感だった気がします。
彼が他の誰よりも自然な感じで映像の中で生きていたので
古臭い作りモノ的な人間関係も毛嫌いせず観ることが出来たのでした。
ピアノ青年も儚げでいい感じだった。

震災後。被災地となった故郷に今日子と修一はそれぞれ向かう。
家族の消息。とにかく、そこが知りたくて向かうそれぞれの二人。
仮設の縫製場みたいな場所で佇む今日子と祖母に抱きつく息子と祖母。
この三人の距離や視線が印象的。泣きじゃくる今日子は結局どうなったのだろう。

この映画を観ると、むしょうにラーメンが食べたくなっちゃう。
修一が出所してから最初に食べるのも、工場で出逢う
気の良い未来ちゃんが作ってくれるインスタント麺も
被災地での仮設のラーメン屋さんで食べるラーメンも全部美味しそう。
どうしてラーメンなのかというと、ラーメンは体調が出るからだと言う。
元気な時にしか食べることが出来ない食べものでもあるからと
奥田監督が語ってくれた気がする。
そういえば、確かに、修一は初めの方は静かに食べていた。
麺も数本だけお箸につかんですすっていた気がする。
だけど、最後に故郷で仮設のラーメン屋さんで食べていた時には
ガンガン食べていた。きっと彼は大丈夫。生きて行く。
たとえ辛い現実があっても待っていてくれる人がいるから。

映画が終わって舞台挨拶に登壇してくれた奥田監督と安藤サクラさん。
奥田さんはもともと色気のある俳優さんだもの。とてもお洒落で素敵だった。
サクラさんは気さくな感じの笑顔が魅力的な方だった。
修一の働く場所でのあの優しい社長さんは俳優さんではなくて
奥田さんの飲み友達だったらしい。どんなプロの俳優さんよりも
彼が一番ヨカッタので、すごいなって思った。
季節ごとの撮影スタッフがいたので、大作なのかと思いきや
逆に製作費がなかったので、いったん撮影をとめて
奥田さんが俳優業で働いて資金を作って、また撮影を開始して・・という
作り方だったので結果的に長丁場になってしまったらしいこと・・。
というか、もっと、色々話してくれたのに、憶えているのは
パンフレットにサインをしてくれた時の奥田さんの手の美しさでありました(笑)
いや、素敵なんですよね。サクラさんも素敵でした。

上映が終わってしまった所もあるけれど、
これから、まだまだ全国各地で上映が続いている映画です。

この映画の・・

満足度:68%

カテゴリー:くいしんぼうシネマ

テーマ:映画館で観た映画
ジャンル:映画

Author.ガオ
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★飲喰雑記2012.4.9まではコチラ

 

私立探偵 濱マイクシリーズ BOX
映画三部作。
1作目「我が人生最悪の時」
モノクロ。哀しき友情。
日活映画の香り。
この玩具は閉まっておきなよって
ヤンのお腹をポンと叩くマイクの手が
人柄を表していて好きだなぁ。

2作目「遥かな時代の階段を」
ちょっと「エデンの東」のような
マイクの世界。

3作目「罠」
マイクとミッキー。
明と暗。太陽と月。これまた哀し。
不器用なマイクが恋する姿も良し。

「私立探偵 濱マイク」テレビドラマ版
テレビドラマ版濱マイク。
全話フィルム撮りで全話違う監督だから
キャラは一貫しているものの
各回の個性が強くある。
ドラマというより短編映画のよう。
毎回流れるオープニングの
「くちばしにチェリー」
(EGO-WRAPPIN')や、
YOUさんの予告などかつての
日テレドラマの傷天や探偵物語などを
彷彿させ毎週楽しみでした。

第1話「31→1の寓話」
緒方明監督作。
ちょっとマイクの服が
気合い入りすぎていて違和感(笑)
なかなか凝った話で面白い。
マニュアル通りに生きる哀しさ。
戦っている香川さん切ない。 野毛に
金ちゃんのお墓探しに行こう(謎笑)

第2話「歌姫」
前田良輔監督作。
横浜下町色全開で
このドラマの回のロケ嬉し。
磯村屋とかに焼きソバ
食べに行っちゃったもん(笑)
あの狭い路地も探しちゃった。

第3話「どこまでも遠くへ」
萩生田宏治監督作。
自分が生きている意味。
「ちゃんともっているよ」と
ハートをポンっとたたくマイクが優しい。
あきらかにメリーさんだよねという役柄で
岸田今日子さんが黄金町駅近の橋で
登場してくれるのが嬉しかった。

第4話「サクラサクヒ」
行定勲監督作。
この回が一番映画の濱マイクを
彷彿させる。話の軸になるのは
丈治とメイホアなんだけど
坂道の階段みたいなとこで
寝ころんで待っているマイクとか
横浜港の税関で情報を聞くとことか
二人組の刑事とのやりとりとか
あぁ、これがマイクだ~って感じです。
行定監督は映画版の時に助監督でした。
マイクとは縁が深いです。

第5話「花」
須永秀明監督作。
偽物マイクが出てきたり大阪に行ったり
マイクが黄金劇場でバイトしたり(笑)
ゴタゴタしている中でリストラ問題
独りぼっちの子供・・(泣)
子供の時の思い出がないから
子供にどう接していいのか
わからないというマイクに共感。
そういえば星野君・・・・いた?(謎)

第6話「名前のない森」
青山真治監督作。
ちょっと異色なマイクの世界感
いい意味でぶっ壊してくれていて
斬新で面白い。そうして、
「濱マイク」が「濱マイク」で
いたくなくなるというのは、実は
映画版の頃から伏線として
静かにあると思います。

第7話「私生活」
岩松了監督作。
岩松さんって器用な方なんだなぁ。
役者さんとしても劇作家としても
監督としてもなんでもこなしてしまう。
この回は野毛のパチンコ交換所で
マイクに情報をくれる謎の女サキが中心。
でも相変わらず謎の女です(笑)
赤いワンピースが華やかな
「誰も得はしないわ」というラストが好き。

第8話「時よとまれ、君は美しい」
石井聰亙監督作。
古風だけれど名作。
石井ワールドのロックな世界観。
自白剤の伏線。
意識が朦朧としている中での
声にならないくらいの
マイクの告白。 美しくて
哀しいラストに思わず涙・・。

第9話
「ミスター・ニッポン21世紀の男」
中島哲也監督作。
ぶっ飛んでます。アホです(笑)
中島ワールド全開です。
マイクとタダシの友情にもホロリ。
鑑別所で「立てよ、タダシ」と
言った時のマイクと同じように
都橋商店街でのラストでも
「立てよ、タダシ」といったマイク。
どんなに時が流れていても
ハートは一筋。 どこまでも
友達を見捨てないのだ。

第10話「1分間700円」
竹内スグル監督作。
クールです。この回のマイクは
ファッションのせいかな、どこか
『トゥルーロマンス』の時の
スレーター演じるクラレンスみたいで
やんちゃでカッコイイ雰囲気なのよねぇ。
しかし、ほんとに殺し屋の浅野さんが
ハマりすぎです。赦される意味を迷い
命を粗末にする独りの人間を
なんとかしてすくいたいと思う
命が消えそうな人間とのやりとりは
切ない感じです。ラストもクール。

第11話「女と男、男と女」
アレックス・コックス監督作。
マカロニウエスタンですよ、横浜で(笑)
おまけにミルクのエピソードまで。
色々盛り沢山なのに最後には
カラスでまとめちゃう
アレックス・コックス監督ステキです。
ってか、もう航海していない船で
どこへ行く?田口トモロヲさん(笑)

第12話 「ビターズエンド」
利重剛監督作。
最終回らしい最終回。
レギュラーメンバーが全員で
横浜鑑別所の歌を合唱する場面が
なんだか、すごく好きだった。
Bを演じたSIONさんは最高だった。
マイクを演じた永瀬さんの
どんな時も本気の思いが
ドカンと伝わってくる
迫真の演技に胸打たれる。
ラストに流れる「通報されても」
マイクのモノローグ。涙、涙。
利重監督の世界は温度があるね。




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