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冒した者 (吉祥寺シアター)

半券、戯曲、プログラム

9月5日に横浜のKAATでのプレ公演を皮きりに横浜、東京、
松本、仙台、新潟と1ヶ月間、この密度の深い濃厚な舞台は
先日の12日に新潟で無事に大千秋楽。とうとう「冒した者」の
すべての公演が終わってしまい、なんだか淋しいです。。

同じ舞台をこんなに観に行ったこともないかもしれません。
「冒した者」があまりにも素晴らしかったので、
しばらく眠っていた観劇熱が目をさまして他のお芝居も観に行ってみたけれど
逆に「冒した者」は特別だったのだと思い知りました。
なかなか、ここまでの舞台には出逢えないのですね。
KAATの時もすでに凄かったのにそれよりも、もっと凄くなっていて
演者の方たちの限界はどこにあるのだろうと彼らの凄さに驚愕したのでした。
しかも1日2公演がある日もたくさんあって、これ観た人にはわかると思うけれど
これを演じきる田中哲司さん、松田龍平さん、松雪泰子さん、
長塚圭史さん、江口のりこさん、尾上寛之さん、桑原裕子さん、
木下あかりさん、中村まことさん、吉見一豊さんは、もう凄すぎて
たぶん、アタシだったら1日で死んでしまう。そのくらい凄いものでした。
これから、アタシはこの10人を何かで観るたびに正座しちゃいます(笑)
そんな「冒した者」吉祥寺シアターで観た2公演を簡単にメモしました。

<<当日引換券(9月29日 14:00開演)>>

この日は織子役の桑原さんの涙の光った目元まで観えてきて
息を吸うのもやめてしまわないといけないような緊張で見つめました。
戦争というものを受け止めなければいけなかった戦後に生き残った人たち。
モモちゃんが言う・・

「だって、広島ではだあれも武器なんて持ってはいなかったわ。
 アタシは公園の砂場の泥でおダンゴこさえていたのよ。
 そこへピカドンおっことした人が悪くない?」

原子爆弾というものを人間が作り、それを人間がつかった。
そのことをどうやって受け止めたらいいのか。
それをズシリと抱えながら、生きていかなければいけない人たち。
そして、それは現代にもゾっとするほど繋がっている。
原発事故があり様々な人たちの生き方の中で、
表面上は日々を生きているけれど、何かがつっかかっている。
ノドの奥にいつもつっかかっている。そのことを「冒した者」がついてくる。
心の奥に眠っているフリをしている言葉に表現できない何かを。

舞台上で<私>、舟木、織子、省三、若宮、房代、柳子、浮山、モモちゃんは
縁あって半分廃墟になっている建物で生活している。
そこへ須永という青年がやってくる。<私>とモモちゃんに逢いに。
彼は人を殺していた。でも、観たところ、優しげで物静か。
でも、須永が殺人犯だとわかるとそれまでの何かが外れて
表面上は普通にしていたようにみえた日々が崩れていく。
それを10人の演者たちは椅子しかない舞台の上で熱演を繰り広げる。
この10人だからこそ出来た特別な舞台なんだと思う。
気が付くとアタシは、震えていた。何度も同じ場面を観たのに。
優しくて狂っていて哀しさで溢れそうな須永が消えて行った塔の上。
たったひとり残された裸のモモちゃん。この二人の透明感を
舞台というもので観る贅沢に頭蓋骨まで泣いてしまう勢いで感動してしまった。
映像は撮り直しが出来る。過去のものを繰り返しアタシたちは眺める。
けれど、舞台は生身だ。本物の声と本物の肉体で同じ時を生きる。
一期一会。一瞬、一瞬が大切で、宝もののような瞬間だった。

★この日の公演の直後の感想はコチラ


<<吉祥寺シアター楽日(10月7日 14:00開演)>>

自分にとっては見納めの日。座った位置もとてもいい。
やっぱり、センター列の真ん中並びは観劇には一番いいかもしれません。
真ん中並びの右側でした。5回も同じ舞台を観に行く。
そして、5回ともそれぞれが特別だった。特にこの日は特別の中の特別で
今、日付けを記しただけで鳥肌がたって泣けてきそう。
一幕の時から忘れられないことがいくつかあって
そのことを言葉にしてしまうと砕けてしまいそうだから
誰にも言わずに骨の真ん中に沈めておきたい。
でも、記したいこともたくさんあって、それはもう、観た直後に記してしまった。

すべての演者の方たちが素晴らしかった。
特に松田龍平さんは須永を演じるために生まれてきたのではと思うくらい
圧倒的なものがあった。居場所がなくて亡霊のように生きた
底知れぬ優しい須永の哀しさが狂気になって放出された瞬間の
この世のものとは思えない美しさ。怖かった。
あの日の観客だけが知っているあの目を忘れない。忘れられない。

★この日の公演の観た直後の感想はコチラ

再演を・・!
同じ演者と同じ演出で。そう、願いをこめて。
本当にお疲れさまでした。素晴らしかったです。


<作>
三好十郎

<演出>
長塚圭史

<出演>
田中哲司(私)
松田龍平(須永)
松雪泰子(柳子)
長塚圭史(舟木)
江口のりこ(房代)
尾上寛之(省三)
桑原裕子(織子)
木下あかり(モモちゃん)
中村まこと(若宮)
吉見一豊(浮山)

<美術>
二村周作

<照明>
齋藤茂男

<音響>
加藤温

<人物デザイン監修>
柘植伊佐夫

<ヘアメイク>
河村陽子

<演出助手>
山田美紀

<舞台監督>
福澤論志

<プロデューサー>
伊藤達哉

<演出部>
鷲北裕一
菅野將機
武藤祥平
吉村彩香
竹井祐樹

<美術助手>
谷口綾

<照明操作>
丸山武彦
河野真衣

<照明助手>
竹元楓

<音響操作>
高塩顕

<衣裳部>
畑久美子
元風呂早苗

<衣裳製作>
東宝コスチューム
竹林正人

<ヘアメイク部>
堀内典子

<ヘアメイク助手>
小池美津子

<稽古場代役>
伊藤総

<三味線指導>
杵屋和悦

<フルート指導>
渡瀬英彦

<小道具>
高津装飾美術

<大道具>
唐崎修

<大道具製作>
C-COM舞台装置
テルミック
くれよん

<特殊効果>
特効

<輸送>
マイド

<稽古場>
シムスタジオ
KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ

<協力>
白木まり
山口謙吾
藤田貴大
桜隊原爆忌の会
STAGE DOCTOR
シアタークリエイション
サウンドバスターズ
SENJUYA
チャコット

<宣伝美術>
BLOCKBUSTER
NO DESIGN
清田隆之

<プリンティングディレクター>
青山功

<ウェブ製作>
スレッドアンドハーフ

<ウェブプロモーション>
飯田裕幸

<葛河思潮社ロゴ>
福田さかえ

<広報>
吉田プロモーション

<ソーシャルシフト>
赤羽ひろみ
藤井良一

<ホットミール>
金侑那
是松詩乃
西川悦代

<票券>
北澤芙未子

<製作助手>
宮崎友里江

<製作>
三浦瞳

<企画・製作>
葛河思潮社

カテゴリー:舞台観察記

テーマ:観劇
ジャンル:学問・文化・芸術

Author.ガオ
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 カトルカールが焼きあがる香り

★飲喰雑記2012.4.9まではコチラ

 

私立探偵 濱マイクシリーズ BOX
映画三部作。
1作目「我が人生最悪の時」
モノクロ。哀しき友情。
日活映画の香り。
この玩具は閉まっておきなよって
ヤンのお腹をポンと叩くマイクの手が
人柄を表していて好きだなぁ。

2作目「遥かな時代の階段を」
ちょっと「エデンの東」のような
マイクの世界。

3作目「罠」
マイクとミッキー。
明と暗。太陽と月。これまた哀し。
不器用なマイクが恋する姿も良し。

「私立探偵 濱マイク」テレビドラマ版
テレビドラマ版濱マイク。
全話フィルム撮りで全話違う監督だから
キャラは一貫しているものの
各回の個性が強くある。
ドラマというより短編映画のよう。
毎回流れるオープニングの
「くちばしにチェリー」
(EGO-WRAPPIN')や、
YOUさんの予告などかつての
日テレドラマの傷天や探偵物語などを
彷彿させ毎週楽しみでした。

第1話「31→1の寓話」
緒方明監督作。
ちょっとマイクの服が
気合い入りすぎていて違和感(笑)
なかなか凝った話で面白い。
マニュアル通りに生きる哀しさ。
戦っている香川さん切ない。 野毛に
金ちゃんのお墓探しに行こう(謎笑)

第2話「歌姫」
前田良輔監督作。
横浜下町色全開で
このドラマの回のロケ嬉し。
磯村屋とかに焼きソバ
食べに行っちゃったもん(笑)
あの狭い路地も探しちゃった。

第3話「どこまでも遠くへ」
萩生田宏治監督作。
自分が生きている意味。
「ちゃんともっているよ」と
ハートをポンっとたたくマイクが優しい。
あきらかにメリーさんだよねという役柄で
岸田今日子さんが黄金町駅近の橋で
登場してくれるのが嬉しかった。

第4話「サクラサクヒ」
行定勲監督作。
この回が一番映画の濱マイクを
彷彿させる。話の軸になるのは
丈治とメイホアなんだけど
坂道の階段みたいなとこで
寝ころんで待っているマイクとか
横浜港の税関で情報を聞くとことか
二人組の刑事とのやりとりとか
あぁ、これがマイクだ~って感じです。
行定監督は映画版の時に助監督でした。
マイクとは縁が深いです。

第5話「花」
須永秀明監督作。
偽物マイクが出てきたり大阪に行ったり
マイクが黄金劇場でバイトしたり(笑)
ゴタゴタしている中でリストラ問題
独りぼっちの子供・・(泣)
子供の時の思い出がないから
子供にどう接していいのか
わからないというマイクに共感。
そういえば星野君・・・・いた?(謎)

第6話「名前のない森」
青山真治監督作。
ちょっと異色なマイクの世界感
いい意味でぶっ壊してくれていて
斬新で面白い。そうして、
「濱マイク」が「濱マイク」で
いたくなくなるというのは、実は
映画版の頃から伏線として
静かにあると思います。

第7話「私生活」
岩松了監督作。
岩松さんって器用な方なんだなぁ。
役者さんとしても劇作家としても
監督としてもなんでもこなしてしまう。
この回は野毛のパチンコ交換所で
マイクに情報をくれる謎の女サキが中心。
でも相変わらず謎の女です(笑)
赤いワンピースが華やかな
「誰も得はしないわ」というラストが好き。

第8話「時よとまれ、君は美しい」
石井聰亙監督作。
古風だけれど名作。
石井ワールドのロックな世界観。
自白剤の伏線。
意識が朦朧としている中での
声にならないくらいの
マイクの告白。 美しくて
哀しいラストに思わず涙・・。

第9話
「ミスター・ニッポン21世紀の男」
中島哲也監督作。
ぶっ飛んでます。アホです(笑)
中島ワールド全開です。
マイクとタダシの友情にもホロリ。
鑑別所で「立てよ、タダシ」と
言った時のマイクと同じように
都橋商店街でのラストでも
「立てよ、タダシ」といったマイク。
どんなに時が流れていても
ハートは一筋。 どこまでも
友達を見捨てないのだ。

第10話「1分間700円」
竹内スグル監督作。
クールです。この回のマイクは
ファッションのせいかな、どこか
『トゥルーロマンス』の時の
スレーター演じるクラレンスみたいで
やんちゃでカッコイイ雰囲気なのよねぇ。
しかし、ほんとに殺し屋の浅野さんが
ハマりすぎです。赦される意味を迷い
命を粗末にする独りの人間を
なんとかしてすくいたいと思う
命が消えそうな人間とのやりとりは
切ない感じです。ラストもクール。

第11話「女と男、男と女」
アレックス・コックス監督作。
マカロニウエスタンですよ、横浜で(笑)
おまけにミルクのエピソードまで。
色々盛り沢山なのに最後には
カラスでまとめちゃう
アレックス・コックス監督ステキです。
ってか、もう航海していない船で
どこへ行く?田口トモロヲさん(笑)

第12話 「ビターズエンド」
利重剛監督作。
最終回らしい最終回。
レギュラーメンバーが全員で
横浜鑑別所の歌を合唱する場面が
なんだか、すごく好きだった。
Bを演じたSIONさんは最高だった。
マイクを演じた永瀬さんの
どんな時も本気の思いが
ドカンと伝わってくる
迫真の演技に胸打たれる。
ラストに流れる「通報されても」
マイクのモノローグ。涙、涙。
利重監督の世界は温度があるね。




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